症例ごとの対処法
CLINICAL APPROACH
慢性疲労
 
 
 
 
 
慢性疲労
 

「疲れ」「痛み」「発熱」は、体からの3大アラームといわれます。これらがなければ、人はいくらでも働いたり遊んだりできるかもしれませんが、体は深刻な状態になってしまうでしょう。「疲れ」は、「痛み」や「発熱」に比べて、見逃したりがまんしたりしがちです。何の対処もせずに放っておくと、疲れはどんどん蓄積されていき、回復にも時間がかかるようになります。

疲れには、休息や睡眠によって回復できる一時的なものと、なかなか回復できない慢性的なものがあります。主な原因としては、「睡眠不足」「ストレス」「栄養不足」「病気」などが挙げられます。睡眠は、体や大脳の疲れをとる最も有効な手段ですが、十分な時間がとれなかったり、質が悪かったりすると、疲れが蓄積していきます。

ストレスには、肉体的なものと精神的なものがありますが、どちらもストレスの環境下にあると、疲れを感じるようになってきます。また片寄った食事や栄養バランスの乱れにより、疲れを回復する栄養素を得られず、疲れを長引かせることがあります。病気の影響や、薬による副作用で疲れやだるさを感じることがあります。

疲れは、体と心の密接なつながりによって左右されがちなもの。疲れを感じれば対策をとれますが、“遊び疲れ”といったような、感じにくい疲れは放っておかれがちです。 疲れを放置したままでいると、脳から体を休ませようとする信号が出るので、集中力や思考力が低下し、パフォーマンスが落ちてしまいます。疲労感によるQOLの低下はもちろん、無気力になってしまったり、また免疫機能が低下してしまうということもあります。

日々、睡眠や休息を意識してとり、規則正しい生活リズムを維持し、栄養バランスのよい食事をとりましょう。こうしたことで解消する疲れもありますが、とれない場合は要注意。半年以上続くような疲れには、別の不調が隠れていることもあります。その際は医療機関などで相談されることをおすすめします。

慢性疲労症候群(まんせいひろうしょうこうぐん)は、原因不明の強度の疲労が長期間(一般的に6ヶ月以上)に及び継続する病気です。この疾患の概念はアメリカで生まれたので、英語 Chronic Fatigue Syndrome や Myalgic Encephalomyelitis(筋痛性脳脊髄炎)、 Post-viral fatigue syndrome(ウイルス感染後疲労症候群)のアクロニムからCFS、ME、PVFSと呼ばれます。

アメリカ疾病予防センター (CDC) によると、完治は希で5%~10%であるものの、治療により改善したり、ある程度回復するとされています。日本では人口の0.3%にあたる約38万人がCFSを罹患していると推定されていますが、認知度の低さにより、適切な診断を受けていないか、うつ病・神経症・更年期障害・自律神経失調症等に誤診されている患者が多いと思われています。

慢性疲労症候群の症状では、今まで健康に過ごしていた人に突然、全身倦怠感、微熱、頭痛、脱力感、思考力の低下、精神、神経症状などのような症状が起こります。慢性疲労症候群は、西洋医学では現在のところこれといった有効な治療法はありません。

慢性疲労症候群の症状は、中国医学で分析すると「気虚」「血虚」「気血両虚」の状態を指します。気滞タイプはエネルギーがめぐらずどんより停滞します。エネルギーは足りているけれど、その流れが滞っているため、エネルギーが全身にみなぎっていない状態です。この状態が悪化すると、エネルギー不足の「気虚」になります。張りや痛みを起こしやすく、ストレスが強いと痛みが増す傾向に。夏は外の暑さと冷房による温度差から、自律神経失調症になりがちです。

血虚タイプは栄養不足で全身カサカサ状態。血液の量が不足していて、全身の細胞に栄養を行き渡らせることができない状態です。そのため、血色が悪く、髪や肌などが乾燥しがちで、手足のしびれや立ちくらみなどが起こりやすく、冷房のかかり過ぎが苦手です。ケガや手術などで出血した後も血虚になりやすいといえます。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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